40歳定年説 柳川教授

むかし、SE、30歳定年説というのがあったように記憶している。
SEという仕事の性格上、その神経的な疲弊に対する精神力、能力の限界といったものから出てきたものだが、今回の45歳定年説というのは、われわれ全員に提案された試案だ。

簡単にいうと、大学生の場合であれば22歳、高校生であれば18歳の時の職業選択のまま定年を迎えるということは、個人の可能性や適性から見て。また企業にとっては生産性や組織のリフレッシュという意味で、本当に正しいのか?ということである。
日本企業の賃金は、いまは少しずつ崩れてきたが、年功序列の如く、年を重ねていくにつれ上昇する。
しかしもっとも貢献度が高いのは30歳代のようである。
このギャップは年功の上昇に合わせて調整されているのが現状で、若い時に貢献を貯金してあとからもらう形になっているらしい。
しかも年金や退職金といった、社会の仕組みもそれに準じているし、40歳代から50歳代半ばまでは、金がかかるのも確かだ・
したがって、中途で会社を辞め、自分の適性や希望にあるところに移るというのは、現実的ではない。

しかし昨今の不況、産業構造激変で、その現実的でない現実が、かなりの範囲と量で起きている。

こうした中で、上記の45歳定年説は、未来に向けての社会制度と個人の生き方への提案になっている。

個人はこうした現状に対してどうするか?
柳川さんは、40歳代で、仲間と話し合いながら自分の専門分野を決め、50歳代でチームを作り、いざとなったら、そのチームで転職・起業をするよう計画を立てたほうがいいという意見を披露している。

いま早期退職者の転職支援をしている自分の立場に置き換えれば、それは再就職活動に取り組み、試行錯誤している人たちをいかに、そうした目標を持ち、支援するかも、仕事の範囲に入ってくる。
活動をしている人のなかで、考えを共通させている人が、お互いの力量バランスを考え、一つの目標に向かうチームを作る。
そのチームのまま就職するか、あるいは起業するか?
ひとりで考え行動するよりは、わくわく感もあるし、気づきもあるに違いない。
しかもほとんどのビジネスマンが経験していない、独立起業に向けてのビジネスプランを検討することも、組織に就職をした際に役立つ。
組織PLなどを義務付けている今日の企業中でこそ、自分が取り組んでいるビジネスの価値が浮き彫りになるからだ。
サラリーマンとても、とうに気楽な稼業ではなくなっているのは、そうした現実的な収益が突き付けられ、今の仕事の継続か退場を迫られていることからも明らかだ。