目標と戦術

一年が終わる。
普通の仕事であれば残す営業日はあと三日くらいだろう。
企業では月末と年末が重なるこの時期は、数の追い込み、事務処理、人事異動などなどでてんやわんやの時期といってもいい。
もちろん全くこれに関係ない企業もあるだろう。

毎年、この時期にある天皇誕生日の祝日というのは、休業になるのが恨めしく感じられたり、逆に妙に嬉しく感じられたりの気持ちが揺れ動く。
余裕のある時はすでに年末の休みのリハーサルのように思えるし、逆の場合は恨めしく休日出勤をするはめになることもある。

個人的には今年は、そのどちらでもある。変な状態である。

この一年も残り少ない時期には、よくその年を振り返る。
充実した一年であったか?楽しかったか?また反省や、悔しい思い、さらには今もまさに続いている悩み事を、としを越させないようにするにはどうしたら良いか?などと考える。

その一つが、目標とそれを達成するために選択、実行された戦術についてである。

●目標は必須で絶対的なものだが、戦術はスキルによって左右する

目標は事業をしている以上、事業計画と一体をなしているものだから、これは絶対的なものだ。
目標がについての不満や疑問というのは、その説明が不十分だからにほかならない。

それは決定の背景やロジック。そしてそれをどのように達成するかの道筋の解説が、メンバーの理解を得られるかどうかにかかっている。
これは極めてシンプルな理屈だが、意外にできていない。言っておしまいで、だからみんなが理解している、さらには納得しているとおもうような事もある。トップというのはそういう願望が強いからなおさらこうした陥穽に陥ることが多いのだ。

行動特性インタビューという考え方がある。
これは、ある課題に対して自分がどう考え、企画し、チームで遂行するのであれば(組織にいる以上、これが多い)その中で、自分はどのような役割を担い、成果に結びつけたか。これをインタビューすることで、その人の思考方法や行動、そしてスキルを確認するというものだ。

当然だが、これは自分の強みや、考え方、いわば勝ちパターンを自覚していないと、明瞭には説明することができない。
これを事前にシミュレートできるか、が戦略ともいえる。

現状の課題を明確にし、それをしミューレートする。
たとえば、いつも個人の達成率がバラツき、未達が続いている50人くらいの組織が目標を達成するにはどうしたらいいか、を考えてみよう。
まず、全員がキチンと達成するのであれば問題はないが、どうしてもばらつきが出る。
となるとその期間で好調な個人は上乗せをすることで、不調のメンバーのマイナスをカバーするにはどうしたらいいかを考えざるをえない。
それには、はい達成をするメリットを創出することが有効になる。
具体的には、ハイ達成を動機づけるインセンティブを厚くするのだ。

しかしこの組織では、3か月の月間目標のうち、2か月連続、3か月連続で目標を達成した場合にインセンティブを出すことにしていた。
さらに締め日よりも1週間前に達成した場合には、早期達成インセンティブを設定していた。

この考え方では、達成者がさらに数字を上乗せする動機付けができていないことにすぐ気がつくだろう。
1カ月目に上乗せがあっても、2カ月目の目標のために計上を遅らせる。3ヶ月目は達成すれば、期の目標は達成するし、それが早ければ早期達成インセンティブも獲得することができる。
そしてとにかく達成したら、それで終わりだ。
それ以上上乗せをしても、インセンティブは用意されていないからだ。

それ以降の成果は、当然、次の期のために温めていくようにするだろう。

こうしたインセンティブの設定は基本的なミスでしかない。
早期に達成すること、安定して達成することには意味がないとはいえないが、組織の目標がどのような構造で達成できるのかを、理解していないので、インセンティブを獲得している人は多く出るが、それ以上にはならない。かくして、余力および成果が埋蔵されながら、組織の目標は未達になるのである。

●何が目標なのか? だけをピュアに考える。


この場合に、インセンティブ