インセンティブ制度は不法を後押しするリスクがある--モチベーション

先日、金融業界出身の方とお話をした時に出てきた言葉である。
中高年の男性で、現在再就職活動中である。

現状では中高年の再就職ではそれまでの仕事の内容と給与の格差が
精神的に高いハードルになる。
キャリアが積まれているということは、それだけその分野が絞り込まれていることに通じる。
そのキャリアが十分に活かせる職場なら、それなりの待遇が期待しやすい。
それでも、新しい企業の組織、社員とのバランスで、相応の落差は残る。
したがって企業としては固定給を抑え、実績を上げられればそれに実績給やインセンティブなどを積み上げ成果と給与のバランスをとる。


しかしこの男性は、それに異議を唱える。
『金融業に関しては、インセンティブを付けるような会社には勤めたくない。
なぜなら、インセンティブ制度があると、がんばろうとするあまり、
イリーガルな分野に張り込みやすい。それは意識をする、しないに関係なく、
そういう圧力を生むからです』


この意見はもちろん、この男性の経験からでた発言だから、
そうした誘惑を感じたり、そのような実例を見てきたゆえのものだろう。


成果を挙げるためのモチベーションとして設けられるこのような金銭的なインセンティブ
外的モチベーションという。
これに対して、自分の仕事の意味、意義をモチベーションとするものを内的モチベーションと呼ぶ。


一般に外的モチベーションは短期的な成果を追求するには有効といわれているが、
逆にそれが当たり前になると、どんどんインセンティブをあげていかなければ
モチベーションは弱くなるという性質を持っている。


これに対して内的モチベーションは、それを形成するには時間や労力がかかるが、
長期的に発展していくという性質を持っている。


このどちらが優れているということではなく、
双方の性質を理解して適性に使い分けていくことが必要といわれている。


しかし、仕事の性格によっては、これはきわめて重要だ。
たとえば、医療の分野などはわかりやすいだろう。
業績を上げるために何らかの成果を挙げる目標を設定したり競争を設定したりしたら、
何が発生してくるか?


交通安全週間には、取締りが厳しくなるが、
実は毎回の交通安全週間の違反摘発数は
各警察署に振り分けられた目標数字どおりに推移しているという噂を聞いたことがある。
仮にそうだとしたら、違反をなくす、違反者を取りしまるのが目的ではなく、
摘発数目標を達成するための運動になっていることになる。

現在、問題になっている学校の『いじめ問題』も同様だ。
『いじめをなくす教育』を目指すための学校教育が、
『いじめ』を出さない⇒認定しないことで『いじめゼロ』を演出することが目標になっていたりする。

モチベーションは人や企業、技術などをの成長を促すエンジンだが、
『正しい目標』という燃料を入れ間違えると
大きな危険につながってしまう。



自分は何をモチベーションとしているのだろう?
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