失業率と実際の関係

9月の失業率は4.2%と、有効求人倍率が上昇しているにもかかわらず、なかなか改善しないようだ。
新規求人のうちどの程度就職が決まったかを見る充足率は20.1%で、これは6ヶ月連続で前年同月比を下回っている。
この原因は企業側が求める人材と求職側の条件が合わないからだとはよく言われる。


少し前に、ハローワークではこうしたミスマッチを減少させるために、
求職者情報をさらに詳細に企業側に公開するような方針を打ち出したという新聞記事が出ていた。
もちろん、求職者がどのようなスキルを持っているのかを企業が入手するのは不可欠だ。
これには、具体的には求職者の職務経歴書が、より詳細に書かれている必要がある。


しかし現実的には、この職務経歴書を詳細に書くというのは、かなり難しい。
実際、再就職支援を行っている現場では、この職務経歴書作成に多くの時間を割いている。
これは、事務、営業、技術、そして管理職、一般社員ともかわらない。
その人の経験してきた事によって内容に違いこそあれ、その振り返りを整理するには、
相当な時間と労力がかかるのだ。


われわれ民間の再就職支援サービスは、企業から費用をもらって実施され、
再就職実現でそのサービスの評価がされるようになっているので、
支援するほうも、求職者同様に必死になる。
求職者が応募しても、書類選考で不合格になる可能性はかなり高い。
その上で、人物を見る面接があるのだが、その応募書類の内容によって面接官には
強い印象が形成されるのはいうまでもない。
この職務経歴書の作成は、
一人だけで取り組むのは、相当難しい。
自分のことだから十分に出来そうなものだが、
自分のことゆえに第三者が見て具体的にわかるようにするのが難しいのだ。


それにはさまざまな人のキャリアを見てきた第三者が、
それぞれのレベルややり方、量、スピード、スケールという点を確認し、
その求職者が経験したことを個別に浮き上がらせる必要がある。

残念ながら再就職支援サービスうを受けられる人は
全体の10%にも満たないのが現実である。
そうした場合、ハローワークでカバーできる求職者は何%くらいになるのだろう。
実際、ハローワークでそのような支援をしているカウンセラーの友人もいて、話を聴いたことがあるが、
それでも全体から見れば同じようなものなのではないだろうか?


さらに就職実現を難しいものにしているのは、
求職者が希望する待遇と企業側が提示する条件の乖離である。
今日の産経新聞にはパートの待遇を正社員に近づけることを法律に明文化するという記事が出ていた。
強制力は持たないらしが、ひとつの方向ではある。

この待遇の落差は、明らかにパート、派遣といった非正社員化を推進する力がはたらいしている。
ある程度年齢が高くなると逃れられない問題だ。

一方で、求職者がどうして前職の待遇を基準に考え、その変換ができなかたり、
自分の現在のビジネスマン価値を正確に把握できないという面もある。
特に若い世代には、バブル入社を経験してきた人も多く、
企業のネームバリュー、規模、待遇から離れられない人もいる。

そこで問題になるのは、
仕事や現座の環境といった情報や知識が不足していることだ。
この場合は情報が足りないのではなく、吸収する努力が足りないという意味だ。


自分の仕事のやっている意味を考える。
それには他社や他業界の動きを知らなければ、検討すべき点を把握することができない。
特に最近のビジネス誌は、労働環境を特集しているものが多いが、
それさえ、読んでいないケースも多々ある。

いま就職率あるいは充足率を上げるには、
企業側の雇用形態、条件の見直しはもちろんだが、こうした個々人の仕事への取り組み姿勢、
自分の見直しがさらに進められなければならなくなっていると思う。