三代前までの家系をたどり、自分の歴史と背景を探る

昨日、クライエントから、いいお話を頂戴した。
一つは、自分の三代前までの家系を探るということ。
その根幹にあるのは、今の自分はそうした血脈や先達の考えや行動からつくられているということ。
その要因はどのようなものなのかを知ることで、自分を知り、今後の自分の行動を考えるということ。

確かにいまここにいる自分は、自分の素質や経験でつくりあげられているのだが、その経験から自分は影響を受け、考え方の基準を築きあげてきた。それは進行中だ。
特に、その中でも両親から受けた影響は大きい。両親同士の会話、近所の噂話(それは評価を含んでいることが多い)。それと子供だった自分に対するしつけや叱りの言葉。
自分はといえば、もちろん接点が多かっただけに、母親の影響が大きい。
『みっともないことはやめて』、『それは、みっともない』
『好きなことをやれ。好きなことがあってうらやましい』
『だれだれはこうした賢いことをやっている。倣ってやってみたら』
などなどだ。
意気地なしで、すぐにいやなことから逃げ出してしまうような気の弱い子供だったから、親の言うことは絶大だった。それでもわがままに育てられたから、大胆なこともあった。

そう考え起こしてみると、その親を育てた親はどのようにその子を育てたのかは大いに気になるし、その影響が自分にも影響をしていることは間違いない。母方の祖母は早逝したので知らないが、祖父は覚えている。頑固で酒の好きな祖父だったが、孫である時分には優しかった。不器用だったが。
父方の祖母も同じく早逝しており、こちらは話を聞いたこともないので、父にも思い出がほとんどなかったのではないか?祖父は漁師で口が重く、やはり頑固だった。成績の良い父が高等小学校で進学をしないことを聞いた教師が、父親に進学を進めに行ったところ、『漁師の子供に教育などいらない。余計なことをするな』といった、よくある昔話のような話を、実際に聞いたことがある。確かに、計算が得意な父親だった。

社会に出てからは、先輩や上司の影響は大きかった。もちろん同僚や後輩の影響も大きい。学生時代から決して読書が少ない方ではなかったが、開高 健を知ったのは営業の先輩だし、スキーや登山の面白さを教えてくれて、一緒に行動したのは先輩だった。富士山を除く2.3番目の山に登ったのは、少なからず自分の体力や考え方に大きな影響を及ぼしている。新田次郎を知ったのもそのころだ。

そして今は、キャリアカウンセラーとして様々な人に出会い、体験を聞き、その背景を聞き、考え方を知り、行動をみていると、これも、まさしく大きな影響を及ぼしている。

話を戻すが、自分の三代まえまで家系を追ってみるというのは、その時代背景とともに考えると、小さいが歴史を学ぶことに通じるかもしれない。社会ではない、世間の歴史かもしれないが。それがたとえ、子供のころに感じた広く小さな世界だったにしても、確実に大きな影響を受けている。
そしてそれを探ることは、不可能ではないようだ。

もう一つのいいお話は、人に接する態度だ。
クリントン竹下登の話を思い出したのだが、人たらし、というのは、実は人に対する影響力の発揮といったテクニックだけでなく、人に対する心構え、心根の表れではないか?と気づいた。
正面から対峙する、あなたの意見を聞かせてほしいといった姿勢がにじみ出る人には、思わず自分の心の中のことまで話をしてしまうことが多い。
自分はどちらかといえばおしゃべりで、後先を考えずに口に出してしまうことが多いが、そこに本当の心があるか?会話は心を通わせるための手段でもあることを考えると、それはかなりというか根本的に重要なことだ。それらを実践的に教えるセミナーに出た時に、その迫力はすごかったという話を聞かせていただいた。コミュニケーションというとちょっと合理的、科学的な印象があるが、それは心を通わせるということであり、アナログでぬくもりがあり、不合理もあるが理解できる、といった、いわばその人らしさというようなものだということだ。だから好き嫌いもあり信頼もあるのだ。

これらは自分を理解するという上で、極めて重要な要素だと思う。
キャリアカウンセリングにも、うまく取り入れてみようと思う。