中高年の早期退職と転職---1

ここ数ヶ月、中高年の早期退職&再就職の相談にあずかることが多かったので、
感じたことを書いておく。
この場合中高年とは、
45歳以上を早期退職制度の対象者にしているケースがあることから、
おおよそ45歳以降59歳までをさす。

突然の退職へのさまざまな受け止め方
 多くの方は、定年まで勤め上げるつもりでいたものが、
会社の都合で早期退職を迫られ、やむなく退職している。これに対して、
①会社に憤りを持つ人
②業績を見ていればいつかはこうなると思っていた人
③現状を見てうっすら転職も考えていた人
④会社の方針ならしょうがないとあきらめられる人
というように分類できる。
いずれにしても、予定より早かったと感じているケースがほとんどで、
③に該当する人はまれだ。しかし、再就職にむけての行動は早い。
転職を考えるということ自体に働く意思が色濃いのだから、当然といえる。

早期退職を定年と考えるか、転職と考えるか
 本来、定年は60歳だ。しかし、早期退職で55歳以上のひとに、
『定年が早く来た』と捉える人が多い。定年と思えば、引退の気持が強い。
こういう層は、雇用保険(失業給付)をすべてもらって、
その後、パートでも探そうと考えがちだ。これはブルーカラーの人に多い傾向である。
 これには大きな理由がある。
日本の製造業がどんどん組み立て業(アセンブル)に移行し、
いわゆる専門的な技能をアウトソーシングすることによって、
そこで働く労働者の作業が、容易で安全な作業、
すなわち派遣でもパートでも可能な作業に変質してきたこと。
それ以外の専門性を備えた作業も、
その企業のやり方からうまれたニッチなものになり、
他では通用しないようになってきたことがある。
 これらのことは20年、30年と同じ会社の中で働いてきた人には、
疑問が沸きにくい。
自分たちのやり方が、世間の常識になっているからだ。
こうした現象は、大企業に多い。

仕事にへの取り組み強度の強さ
 仕事は日々変化している。そして判断、行動、成果をPDSしながら、
試行錯誤していく。
こうした仕事へのスタンスによって、再就職には大きな違いが出る。
 いわば仕事に対すう加速があるかどうかということだ。
加速があれば早期退職&再就職に際しても、
今までの仕事と新しい会社・仕事のあいだにある谷(ギャップ)も飛び越えて、
溶け込むことが可能だ。
 これが、ルーチン化して、毎日同じような仕事を繰り返しているようだと、
何ができるのかを見失いがちだ。
そうなると、『いままでと同じ仕事・環境』を探すようになる。
 その結果、『いい仕事がない、みつからない』ということになり、
どんどん時間がたっていく。
 多くの場合、今までと同じ仕事を探すことに無理があるにもかかわらずだ。

以上、大きく3つのチェックポイントをあげてみた。
同じ、転機でも、受け止め方は人によって異なる。それは目標の違いであり、
行動の違いに現れてくる。
その違いのなかで、留意すべきは、年齢による知力体力の低下である。
これに労働による適度の緊張の消失が及ぼす影響が加わる。
中高年の労働の休止は、みずからの労働力の価値を急速に低下させることを
自覚しておいたほうがいいだろう。

 現実的に中高年の多くの再就職は、大きなギャップに直面することが多い。
 給与をはじめとする待遇、仕事の内容、企業の規模・安定性において、
それを前提に意識を変えておく必要がある。
客観的に、考えれば当然とのことのように思えることが多いのも事実だ。
 ポジションはもちろんだが、給与は生活給的な要素が強く、
決して100%実力を反映したものではない。
こうした制度を見直して効率化を図っているのがリストラであり、
その対象になっているのが、
そうした既存の制度の恩恵を受けている自分たち中高年だということがわかれば、
次はどうなるか、どうすべきかはうっすら見えてくる。
 ただ、これが在職中に気づくことができるのが、一番いいのだ。
本人が気づくのが一番だが、企業もきづかなかったり、
対策をたてるのが遅すぎたのも事実だ。

しかし、これは自分の問題だ。
できる範囲で、自分がやりたいように取り組んでいくしかない。

次回また続きを書く。