仕事で『一皮むける』って・・・。

人は仕事を通して成長する。
それなら、仕事で『一皮むける』のも、当然だと思う。
いろいろな人や仕事の出会いで、
それまでの考え方や行動、フィールドが、格段に変化する経験。
それは誰にでもあるような気がする。
ただ、それに気がついているか、
それにどのように対峙しているかによって
その人の人生に及ぼす影響度が異なるだけなのかも知れない。

金井壽宏さんの、このタイトルの本は
関西経済連合からの依頼で調査をして、分析したものだ。

いくつもの『一皮むけた』経験が、あげられており、
それはそれで納得できるものが多い。
体験談、もっと昔の話なら伝記や英雄段になるが、
それらの物語は、確かに参考になることが多い。

子供のころ読んだ伝記をあげても、
空海をはじめ織田信長豊臣秀吉徳川家康から西郷隆盛木戸孝允大久保利通勝海舟福澤諭吉・・・、これらの英雄の伝記がいまだに多くの人気を集めたり、見直されたりするのは
やはり何か参考になる要素があるからだろう。
ただ、あまりにも自分たちの生きている環境と隔たりがあるので、
具体的な参考になるわけではない。
だから、むしろ身近なところにある『一皮むけた』体験や事例を
もっと注目したほうがいい、という指摘がある。
しかしその後に、とはいえ、他人の一皮向けた経験を読んだからといって、
自分が一皮むけるわけではない。
むしろ、これらの体験、事例を指標指針として参考にすることは有効だという。


仕事柄、多くの方の職務経歴書作成のお手伝いをすることが多い。
目的は、その方のキャリアを適正に企業にアピールすることにあるのだが、
もちろんそれは内容次第だ。いくら上手に説明し表現したとしても、
それが企業のニーズとずれていれば、効果は半減する。

企業が求める経験スキルは、ピンポイントであることが多い。
その上で、前向きなやる気や人柄が求められる。
したがって職務経歴書作成は、ひとつの重要な要素ではあるが、十分ではない。
大切だと思うのは、
その経歴の中で、文字通り一皮むけた経験がどのようなものであり
どのようにそれに対峙し、どう対応し、その後の自分にどのような影響を与えたのか?
これを把握し、その上で、今後の方向性との自分なりのつじつまが合わさっていることを確認すべきなのだ。
人のキャリアには筋がとおっている。それは自分の思いや、価値観などで
つながり、一本、あるいは数本の筋になっている。
これはキャリアドメインと呼ぶらしいが、それを理解することが
そのまま、応募先企業や職種の選択となり、応募動機になる。
そしてそこでやりたいこと、貢献できることが、イコール自分のいき方になる。
それが美しい。

改めて職務経歴書の作成、キャリアの棚卸という言葉の重みを感じた次第だ。




いくつも脱皮した<自分の一皮>こそ、キャリアだと思う
http://www.goodcareer.jp