TVで取り上げる格差社会

昨晩、TVでワーキングプアニートに関する特集を放映していた。
数週間前に週刊ダイヤモンドでも特集をしていたが、
かなりドキッとする内容だったので、周囲でも少し話題になった。
また今度は東洋経済でも同じような特集を組んでいる。

こうしたマスコミで、現実の問題を取り上げることは、
多くの人に理解を広めたり深めたりする効果もあり
傾向としてはいいような気がする。
よく言われているように、最近はお笑い芸人主体の番組が多く、
シリアスな内容のものは、一部の局のドキュメンタリーに限定されているからだ。


昨晩の番組は、かなりやわらかい内容に噛み砕いて
いたずらに深刻ぶることもなく、個々の問題を解説していた。
ただ、ちょっと気になることがあった。

やはりお笑い芸人が登場し、ニートの若者に話を聞いているシーンだ。
親への気持ち、働く気持ちを聞いて、
自分の感想を述べているのだが、
いかにも問題がシンプルに捉えられていて、
最後に、『いままでにもらえなかったアドバイスをもらったので、参考になりました』のようなニートの感想があり、
ナレーターも『何らかの参考になったようです』といった説明を加えていた。


もちろんお笑い芸人そのものがよくないのではない。
さらっとした問題の捉え方、そこそこの解決にして問題を括る、といった構成が、
どうも誤解や錯覚につながってしまうような不安がある。


深刻ぶることも必要ない。
しかし、簡単に考えるのも危険だ。

わかりやすいように、芸人をモデルにシミュレーションをして見るのも
かなり効果的な切り口として、評価できる。
しかし、『問題の解決とか捉え方』は、あまりにシンプル化すると
(それは、おうおうにして抽象的で、類型化しすぎる傾向がある)捉え方を誤る可能性がある。

たとえば個々の二ートには個々の問題がある。
それは、ばらばらのベクトルを持っている。
それをいくつかの問題に取りまとめて見ること。
それが結構大事なのではないか?
この問題提起が、マスコミには有効だ。
一方でドキュメンタリーは、『個』にグっと寄って、
問題を捉え、それを普遍に推し進めることで社会問題として提起する効果を備えていると思う。

昨晩の番組のそれらのシーン、コーナーは、
問題の掘り込みも不十分だったし、
問題そのものを広く眺め、まとめ、提示する点も弱かった。
簡単に言えば、現象を取り上げ、それに対するひとつのわかりやすい解説をした。
しかし、その現象が一部であり表層的であり、解説が中途半端な印象なのだ。


格差社会、競争社会、ニートやフリーター問題は、
もちろん大きな問題だ。
日本はこうした問題で滅ぶ、最初の国になるかもしれないいう指摘もあるようだ。

だからこそ、こうした問題のマスコミの特集には
力作を期待したいと強く感じた。


マスコミで知る現実より、目の前にあるのが現実だ
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