『関係の強さ』が現れるとき

関係構築というのは、
初めて会った人と、その出会い以降に物ごとをすすめるにあたって
わだかまりなく率直に話し合える関係をつくることだ。

しかしこれはそれほど簡単ではない。
キャリアカウンセリングの研修などでは
最初の面談でそれをクリアすることを学ぶが、
もちろんそれで十分ではない。

むしろ、いろいろな話をしたり、検討していったりする中で
その関係は強まったり弱まったりする。
面談の回数を重ねて少しずつ強まっていくのは確かだが、
それも一度大きな行き違いがあると、なかなか修復できない。
そういう可能性が高いのだ。

しかしこの関係の強さが
意外な時に現れることもある。


今日、高齢のクライアントから連絡が入った。
再就職の決定である。
以前、こちらで紹介した案件に応募していただき面接に進んだが、
残念ながらお見送りになってしまった。
知識も人柄も評価されたのだが、
まず視力の弱まりが予想以上に進んでおり、細かな字が見えないことに加えて
ふだんは老眼鏡を使わないせいで、選考会場にめがねを持参していなかったことが影響した。筆記試験の解答用紙であるマークシートが見えなかった。
それを係りの方に助けてもらったので、はっきりとそれが分かってしまった。
それに加えて、長時間集中したせいか、試験時間が終わったとたんグターっとした姿勢を見咎められてしまったようなのだ。

試験に臨む姿勢が十分でなかったのは事実だが、
ご本人はそれほどしっかりと働くという気も少なかった。
最初から『趣味を続けていくためとボケ防止のため』に働くのが目標ですといっていたからだ。


だからこの試験が終わってから
今度は自分で仕事を探し始め、そして応募し、再就職に成功したのだ。
失敗をきっかけに、自分お気持ちにあった仕事がより明確になったおだとしたら、失敗も意味がある。

ご自分の活動は、そのつどきちんきとんと報告をいただいた。


自分で求人情報を探して応募した場合は、どうしてもカウンセラーへの連絡は遅れがちだが、ほとんど時間をおくことがなかった。

そして今日の決定の連絡だ。
しかも入社は2週間後にもかかわらず、月末にご報告に伺いますというお話だった。営業経験者らしいけじめのつけ方だ。

このような行動をとっていただけると
われわれは再就職活動におけるパートナーなのだな、と思う。


信頼構築という言葉は硬く重いが、
その実、普段の生活の中での自然なマナーで感じられるものなのだと思った。


⇒いい関係構築をつくろう
http://www.goodcareer.jp