キャリアサービスに新たなビジネスモデルの可能性はあるか?

キャリアを整理することや、将来の目標に近づくために計画を立て、実際に行動することの必要性はみんなわかってはいるが、実際にできている人は少ない。
今日の新聞には、ビジネスマンは英語力が必要と考えていながら、実際には行動を起こしていない人が多数だという記事が紹介されていた。
これは『行動を起こすこと』の難しさをよくあらわしているとおもう。

ビジネスマンのほとんど全員(もちろんビジネスマン以外の方にも)が、
今後のビジネス社会が大きく変わってくることは想像できる。
高齢社会(化はもうつかない)においては、若年層をはじめ、有能なビジネスマンは適材適所をスムーズに実現していかなければ、コストパフォーマンスは落ちる。
ダイバーシティ化が進む。
かつて効果をあげ、日本の企業の強みになっていた企業内教育は、すでに対応不可能になりつつある。
英語力はもう数十年前から必要と言われていたが、それをマスターした人はまだ少ない。しかも英語力がなくても何とかやっていけている。
パソコンやファックスはオフィスに普及してずいぶんになるが、まだ使えない、使わない人が多く存在している。
インターネットもしかるべしだ。

人材ビジネスは、ビジネスマンのキャリアや希望にふさわしい求人とマッチングするビジネスだ。
企業に紹介し、入社が決定した際に入る手数料で成り立っている。
このビジネスは、企業の求人案件と登録者のキャリアデータのマッチング作業なので、
IT活用はかなり進んでいる。

実際、登録者との連絡のやり取りや社内の連絡も履歴の残るメールが中心になるので、
休み明けには朝から昼過ぎまでメールの返信に費やされるほどだ。
そして登録者との面談。
面談は通常一回だが、その中で希望を聞き、応募書類を確認し、修正をお願いする。
手持ちの情報からふさわしい情報を提供する。これらの作業で終わり、後はメールでのやり取りになる。
この部分がフェイス・ツー・フェイスの部分だ。

それから新しい案件が出てきたら、適当と思われる情報をピックアップし送付し、応募の意思を確認。
応募なら必要な手続きを進める。
書類選考の結果は一週間から10日。書類選考通過なら、面接のセッティング。面接は順調に行けば2.3回受けることが多い。
そして企業からの条件提示を受けて入社の意思を確認し、決定になる。

これらの一連の進行チェックも担当のカウンセラーがやる。
実はこれが仕事の多くを占め、通常進行中の案件は80から100くらいになり
それが刻々と動いているので、はっきりいって忘れることもある。遅れることはしょっちゅうで、それがクレームになったりする。

こうした作業だから、かなりシステム化が進み、いま紹介したような作業もかなり合理化されているに違いない。

しかし事業が拡大すると
従来と同じようにオフィスの拡大、人員の増加、拠点の拡大とリアル面での膨張が始まる。
もちろん回線の増強、PCなどのハード面の更新もある。
大きくなっても、仕事の仕組みとしてはあまり変わっていない。

仲介ビジネスなので
登録者の拡大、しかも高年収が期待できる層の獲得が重要になる。
決定手数料は年収を基準に決まるからだ。
登録者の募集は広告が中心になる。最近はTV、新聞はもとより電車などの移動広告、ネット広告などかなりのメディアを活用するようになっている。

一方で、企業の求人案件を獲得する作業も営業マンを介在して行う。
いい人が登録していれば、いい案件が集まる。その逆も影響するから双方を強化する必要がある。
もっとも企業にしてみれば決定しなければコストはほとんど発生しないので、
複数の人材紹介会社を利用する。
個人はサービスが無料なので、複数の人材紹介会社に登録し、できるだけ多くの情報を集められるようにする。
コンプライアンスや個人情報保護を当然のものとすると、この競争は実績の高さと広告力、人員、ハードの総合的な投資コストで決まるともいえる。
ノウハウは量をこなすことで蓄積されるから、ナレッジ蓄積と共有方法のノウハウも影響してくる。
しかしそれも余裕がなければやれないしで、きないから、
やはり資金力が決定打になる・

それでは作業合理化のために本当にIT化が検討されているか?
ネット時代のならではのIT活用ができているか?
あるいはネット活用で、抜本的なビジネスモデルの変革や創出ができそうか?
ということを吟味する必要がある。

これまでの競争ルールを覆すやり方、考え方が登場すると
この競争ルールはリセットになる。
その可能性は高い。

次回はそれを考えてみよう。