決断には“トレードオフ”が伴うことが多い

30歳代前半の男性の進路決定。


数日前に、30歳前半の男性の再就職が決まった。
活動を開始して2ヶ月だから、かかった期間としては比較的早いほうだろう。
住宅会社に勤務していた彼が活動するにあたって、悩んでいた課題は
設計に進むか、土地家屋調査・法的事務に進むかの選択肢だった。

大学で建築を専攻した彼は2級建築士資格を持っている。
しかし就職した会社で彼がやっていたのは測量であり、役所への申請業務だ。
しかし測量士の資格はもっていない。

そのどちらを選択するかで、就職先は決まる。
設計事務所か、測量・司法書士事務所などか。

迷ったら先ず両方の求人を検索し、よいと思われるものを整理し、同時に応募しようということになった。先ず、希望するような仕事の求人があるか、条件が合うかどうか。
あれば、その次は書類選考を通過できるかどうか?
今までの自分のキャリアがどう評価されるかを参考にするしかない。

結果的に、内定が先に出たのは設計事務所だった。
後者の応募先からも前向きな返事はもらえたが、会社の雰囲気や期待される事柄が、どうもぴんとこなかった。
それに先ず結果が出るのが遅かった。

それで彼は、先ず先に内定が出た設計事務所に行く決心をした。

しかし問題はその後だった。


条件確認で現われた問題


 募集要項をよく確認すると、その事務所では健康保険と厚生年金に加入していないことがわかった。
この二つを個人で加入することになると、負担額はもちろん、将来受給する際の金額が異なってくる。
詳細を調べるために保険事務所に行き、確認した。それはそのとおりだった。

しかし彼は、設計事務所で、一級建築士の資格を取得することを選んだ。
それには何年もかけられない。
資格をとるだけでなく、設計事務所で実経験を積む。そして、次のステップを考える。
そう考えれば、数年という短い期間の保険、年金の問題などのウエイトはかなり下がる。
そう考え、決断したわけだ。

企業規模や、こうした制度でいえば、よりきちんとした企業からも前向きなオファーが出た。
しかしそれも断り、道を断った。

数年後にどのような結果になるかどうかはわからないが、
こうした目標、計画を立てて判断しなくてはいけない場面に必ず対峙しなければならないのが、再就職活動だ。
さわやかな青年だったが、初めての転職活動で毅然とした決断をした。
この厳しさは、貴重だとおもった。


※35歳の壁
 転職には年齢の壁がある。35歳の壁は30歳の壁に比べかなり強固だ。
 いっぱんに30歳は仕事を覚える時期を終え、考え自分なりのやり方を想像する時期であり、組織的には主任や係長といったポジションに相当する。したがって第一線での即戦力をとわれる壁とも言える。
 これに対して35歳の壁は、そうした自分ありのやり方や知識、技術を発揮して成果をあげる年代だ。専門知識もあり、課長クラスのポジションでマネジメントの経験も張り込んでくる。教育指導をしなければならない年代とすれば、進路の変更はかなり難しくなる。また同じ進路を歩むにしても資格、専門知識、個人の実績だけでなく、組織や制度に対する実績も表面に出てくる。
 だからそれまでには少なくとも確固とした自分を確立しておく必要があるといわれている。



※さてどんな決断をするか、それが問題だ
http://www.goodcareer.jp