老舗、赤福の偽装

内部告発される企業犯罪

伊勢名物の赤福で、製造月日の偽装、返品製品の再利用といった
事件が発生した。
発生といっても数十年前からやっていたというから、
発生というより、そうした偽装、社会への欺瞞で成り立っている企業だったと判断した方がふさわしいかもしれない。

甘党の自分は、転勤で名古屋に在住していたことや、家族の好物なので
出張ごとの定番のお土産だったのだから、
裏切られた気持ちが強い。

そして社長会見も、嘘を言い張り、そして訂正という
いつもながらの隠匿・訂正を繰り返した。

本当に経営陣が知らなかったのかと言えば
これは信じがたい。
信じれば、相当ないい加減な経営、企業ということにもなる。
いままで、お客様に被害はなかったのだろうか?
あってもそれが表面に出てこなかったとしたら、
それは『まさか、赤福に限ってそんなはずがない』という信頼が
それを覆い隠していたのかもしれない。

今回の件は、以前にも市役所に匿名の連絡があったらしい。
しかし、詳細が不明だったため、通常の検査というおざなりの対応ですましたという。
これもお役所仕事といわれてもしょうがないぶざまさだ。

こうした企業ぐるみと思われる反社会的な行為は
多くは従業員によって内部告発される。
従業員の良心が確かにあるのだ。
それが上司や社内に広がらず、
役所なりマスコミに連絡され、
そして公に出る。
この場合、少し前のミートホープ事件と同じように
お役所はほとんど役に立たない。

いま書店には
『もう国にはたのまない』というタイトルの本が並んでいるが、
まさにその通りだ。

マスコミも万全ではないが、
彼らのビジネスとミッションとが、不正告発は一致する場合がおおい。
そしていまはインターネットもある。

独裁国ではない日本ではこうした手段の活用を
簡単に使えるようにすると、消費者の目の厳しさが一段と増すように思える。


●企業内におけるセイフティネット
現場と経営の間をつなぐには
手続きなどの制約がなくリアルタイムでアクセスが出来ることがポイントになる。

簡単にいえばイントラネットだが、それにブログという手段も加わった。
これはいままでの仕組みのせいぜいが、社内の情報伝達、いつでも見られるような共有ファイルのアップにとどまっていたのに加え、もうひとつ重要で有効なのは意見交換、問題提起という、個々のメンバーの意見や感想、提案という事業の明日に向けて、他の意見を募ることができるし、しやすいという機能だ。

制約がなければ、これは賛同者や反対者を明確にしていく。
そのプロセスで、社内の世論を形成することができるというメリットがある。

これが出来る組織は限定される。
企業ビジョンや事業方針が明確で、それが共有されていることだ。
これがじつはなかなかできない。
管理職の会議の報告書をみても
毎回同じようなお題目が並んでいることは多々ある。
何がどのように議論され、進んでいるのかに触れなければ
そのような印象を社内に広めてしまうということと、
もう見てもしょうがないとう風土を定着させることを
経営幹部はもっと恐れないといけないだろう。
最も意識的にそのような風土作りをして
独裁的な経営シフトをしようというなら別で、
本当にそうなら滑稽のようだが、効力は確かにあるともいえる。


冗談はともかくとして、ITが普及したにもかかわらず、
アナログ時代の掲示板的な使い方にとどまっている企業がほとんどだ。

こうした企業では、問題が浮かび上がらず、
たとえば企業の悪弊などが社内のチェックなどで制止できず、
何かの拍子に一度に社会、すなわちマスコミや関係機関に流れ出すことになる。
最も一番恐れるべきは、ネット社会における情報の流布だ。
これは正しいかどうかだけでなく、おもしろいから、むしゃくしゃするからといったような、さまざまな意図で流布してしまう可能性を持っている。

だから社内ではきちんとした情報交換やコンセンサス作りが不可欠なのだ。
重要な情報が社外に出るリスクはある。
しかしそれでもきちんと情報の共有や意見交換が自由になされているメリットの方がはるかに大きい。それが健全な企業の在り方だともいえる。

企業の原則的なルールを堅持できない事件をみるたびに、
こうした企業を形成する人々の良心を発露させない企業の在り方が
残念でならない。


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