使える人材会社とは。その条件。

数日前、50歳代前半のクライアントの再就職が決定した。
流通で食品出身の男性。
はじめからこのキャリアは人気を呼ぶと思ったが、
6社に応募して、6社とも面接に進んだ。

もっとも、その“面接週間”が始まった途端に
別に進めていた人材会社の案件が急速に進み、
最初の2社面接を受け終わったときに、決定となった。

活動を開始して2ヶ月弱。
この年齢では早い決定といっていいだろう。


●注目したい人材会社の仕切り方


さて、ここで注目したいのは人材会社の果たした役割である。
クライアントのキャリアを理解し、それにマッチする求人&企業を探し、
応募、面接の労をとるのが人材会社の役割だ。
それなら、特筆すべきものはない。

しかし、今回は、ある事情があり、本部スタッフをチーム4−5名で、
その仲介をしたことだ。
この企業は、いままさに経営改革計画を推進しており、そこでの新鮮な戦力が必要になっていた。
しかし、いかに優秀なスタッフでも、たった一人をそこに送り込むのでは効果が薄いばかりか、
既存の勢力に飲み込まれたり、はじかれたりしかねない。
実際に、そうした経験をもっていた人材会社のスタッフは、
本部、支店に新しいスタッフを配置する妙案を考えついた。
これなら、ひとつの勢力として、簡単にはじかれることはない。
なによりもそこに新たに入り込む本人たちの気も楽になるし、心強い。
拮抗した戦力を注入したほうが、経営改革も拍車がかかる。

当然このプランは経営陣の納得するところとなり、成功した。
それによって、新たな理論、考え方、行動力を持ったチームが誕生したわけだ。

これに加え、人材会社のスタッフは、“チームとしての相乗効果”を付加価値として捉え、
各人の待遇に上乗せすることに成功したのだ。



●目的実現のための企画力と実行力


これは見方を変えるとこういうことになる。
通常の求人は、欠員なり増員目的がはっきりしている、個々人のスペック重視の求人である。
したがってピンポイントのキャリアマッチで、採用が決定する。
今回の“チーム”参加は、これとは異なり、実務をこなしながら、経営改革を推進していくという付加価値を備えている。したがってチームメンバーを一人一人評価するのではなく、付加価値のついた“チーム”の総合力・推進力を評価するために、個々のメンバーの待遇にはプラスアルファが付加されるわけだ。
結果、これは採用する企業、採用されるチーム・メンバー、そしてそれを仲介した人材会社の三社が相互にWIN-WINの関係を実現するという、すばらしいプランとなったわけだ。

これはこの人材会社が仲介、斡旋の通常の機能に、経験によってアイデア、企画を立て、チームを構成し、そのプランの企業への売り込みに成功させたという、付加価値をプラスしたといえる。

頼りになる人材会社やスタッフというのは、こうした芸当ができるわけだ。


●好況時こそ、進化が問われる


翻って、いま人材紹介業界は、未曾有の好況の真っ只中にある。
なにしろ、需要は急拡大して、紹介できる人材が不足という状況である。
したがって、登録会社を増やすコストがかかってしまうのが、悩みの種だが、
それでも客は門前に待っているのだから、贅沢な悩みといえなくもない。

しかし、だからといって、理想的なマッチング、カウンセリングができているわけではない。
事業である以上早期の決定、好条件の引き出しといったプレッシャーがかかり、
転職、再就職を希望するクライアントの満足、納得度が低下しては元も子もない。
しかしその恐れは、十分にある。


好況の波が、波である以上、企業はその波が引いたときのリスクを考えながら、
設備スタッフを増強する。それは一時的な間に合わせのものになる可能性がある。
またスピードを追求するあまりに、細かなサービス、理解、アドバイスがおざなりになりがちだ。
好況の時には、売り上げの確保やスピードがもっとも力強い目標になるから、
水を差すような意見も通りにくい。
こういう時は注意だ。
このときの評価が、波が引いた時に市場に残ると、マイナスのバイアスがかかる。

何を求めるのか。これをしっかりと軸足に持たなければならないのは、当人はもちろん、人材会社、求人会社、それぞれ同じである。


パートナーに何を期待するのか、教えてください
http://www.goodcareer.jp