モラルの問題

日経新聞朝刊のシリーズ企画『働くニホン』2月24日付で、消費者のモラル崩壊が取り上げられている。
『モンスター・カスタマー』は、コンビニで売り物の地図を勝手にコピーする、持ってきたカップめんにお茶だけ入れて帰る、深夜来てタクシーの呼び出しを依頼し、断られるとキレる。
コンビニを公共図書館やボランティアと勘違いしているのではないか?という行動だ。コンビニに限らず、歯科医院でも、予約なしで突然来て、待たされると文句を猛抗する患者も多いらしい。小学校の父母にも、義務教育なのになぜ、給食代を払わなければならないのか?といいはって払わない人が少なくないという。それも高級車を乗り回している家庭に多いらしい。
例をあげていくと、世の中にはかなりのモンスター・カスタマーが存在するようだ。

モラルというのは『社会や共同体において習慣の中から生まれ、通用するようになった規範』と定義されているが、時代や社会の変化が激しいと、モラルもそれにつれて変化する可能性をもっている。当然それはスパっと入れ替わる訳ではないので、既存のモラルと新たなモラルとが共存する期間が長く存在することはわかる。しかしこれはそれとも違うようだ。


以前、知人からこんな話を聞いた。
日曜日に大量の洗濯物をベランダに干していた時、いきなり上のベランダでカーペットを外にぱっと広げ、たまったごみを外にばら撒き、バタバタとはたきだした。そのゴミは洗濯物のうえにふりかかり、すべてやり直しになった。下から文句を言うと、だまってカーペットをとりこんだが、詫びは一切なく、それ以降、エレベーターなどで一緒になっても挨拶の一言もない。あとで聞いたところではその部屋の住人の夫妻は、ともに薬剤師だというから、高等教育とモラル形成とはまったく関係なく、むしろ高度な教育は社会人としての常識を退化させるのではないか?と不安になったという。

先ほどのモラルの定義を見ると、社会や共同体と個人のかかわり方という部分が重要だ。それが少なかったり偏っていると、独りよがりの考え方に凝り固まっていく傾向がある。
たとえば医師、教師、公務員、いままさに対応が問われている自衛隊、警官、といった社会との接点はあるが特別な関係にある職種、および特殊な集団に属している人々には、その特殊性ゆえに事件として報道される傾向があるにしても、一般常識とかけ離れた事件を起こすことが多いような気がする。教師が不法な映像をネット上で流す、投稿する。死亡事故を起こしたにもかかわらず、その報告が1時間も2時間もかかる。しかも報告の内容が間違いを指摘されることによって二転三転する。明らかな汚職をする。経済破たんしている国の国家予算を常識はずれな物品購入に使う。それもあまりにも個人的な理由で、公務員として不適切すぎる使い方をする・・・。
組織の特殊性、職種の特殊性が、反常識的な行動につながっているというのは否定できない。環境が人をつくるとうのは、性格形成上、学問的にも指摘されていることだが。

原因はいろいろあるだろうが、それを分析したところでそれが是正されるわけではない。
ただ、そうした事件をおこす、あるいは特異な行動をする人の周辺にいる人々がすべてそうであるわけではないことを考えると、その周囲がその違法性、反モラル性を是正する動きを取れるようにすることが重要に思える。
社会のとかかわりとは、突き詰めれば周囲、組織、隣人、家族、友人といったものとの関係なのだから。


常識は持っていたいが、常識的にはなりたくないですか?
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