シニアの活動支援とミドルのキャリア確認

梅雨が明けて、いよいよレポートに着手する季節だ。
新しい事業を考えるのだが、普段からそういう気持で情報を仕入れ、考え、想像しなければ
そんないい考えはぱっとでてくるものではないのだが。
しかし一夜漬けよろしく、集中して頭を絞る?のは、反省をするにもいいし、
なにより集中的に調べたり考えたりする作業に自分をおいこむには効果的だ。
そうでもしなければ、だらだらと小説を読んだり、映画をみたりしてその場その場を楽しんで
おわりということになるからだ。
テーマが決まればやることはきまっているのだが、このテーマの決定こそが問題なのだ。

いま考えているのは、
シニアの活動スタイルを整理し、そのために必要で有効な支援方法を考え、それを実行するにはどのようなことが必要か?ということと
中堅30歳から40歳代前半層のキャリア支援の在り方だ。


前者は何度も考えたことがある。
現在の自分の仕事は中高年の再就職支援サービスだが、
この仕事を通して得られることはかなり多い。
さまざまなキャリアの変遷。
キャリアによる再就職の多様性。
環境による再就職の難易度。
キャリアそのものの強み弱み
個人の考え方のスタンス、行動の類型。
そしてこれらのモデルが、少々オーバーだが、毎日変化し、
そして入れ替わってくることだ。
モデルは時間と比例して増えててくる。
研究には事欠かないというわけだ。
しかし、問題はそのほとんどが自分の意志で転職・再就職を考え決断した人ではなく、
すべて会社都合、すなわち会社のリストラ、あるいは個別の退職勧奨で退職を決断した人たちだということである。
もちろん会社の都合で発せられた早期退職制度が、
ちょうど自分の計画と合致したという人もいる。
しかしそれでも、会社に背を押されて決断したことには変わりがないだろう。

ビジネスモデルが類似している人材紹介会社に登録している人と決定的に違う点だ。
かれらには、目標がすでにある。転職によりポジションなり高収入なり、仕事そのものを手に入れようという目標だ。目標を持ち行動を起こす。ある面では早めにスタートを切ったという点がポイントになるのかもしれない。

それはさておき特にシニア層においてはキャリアチェンジとともにライフチェンジが課題になる。
子育て、住宅ローンが終了していれば、かなり自由度が高い。
この層で残っているリスクは親の介護問題だ。
これがある程度めどがつけば、後は自分なりのライフスタイルの確立が課題になる。

毎日働くのか?これは雇用形態に関係する。
今迄の経験をどのように活かすのか?職種に関係する。
体力・気力は十分か?自然に衰えていく体や意欲がすでに弱まっているのであれば、それとの相談が必要になる。
そしてプライドだ。

このプライドはどちらかというと、考え方に既にしみついているものなので
ほとんど変えることは難しい。
変えられるのは、労働の必要性だ。
どうしても生活費を確保するために働かなくてはならないとしたら、
それは自分で抑え込むことができる。
しかしその必要性がなければ、それはほとんど変えようとしないし、いくら時間がかかってもへんな余裕があるから変わることは少ない。

結果、ホワイトカラーの管理職出身であれば、
求める職業は事務職、経営管理的な仕事を希望することが多くなるし、
現業出身であれば同じような仕事か、もっとらくな仕事を選ぶことが多い。
おなじような仕事か、同じ仕事でも楽な仕事を選ぶのは、考えてみればごく一般的な判断だ。

しかし、中にはいままでと違った仕事をしたいというひともいる。
在職中は全く無関心だったが、地域社会に何か貢献したくなった。
もうすこし漠然として社会の役に立つようなしごとをしたいというひともいる。
言葉は違うが、ボランティアでもやりたいというひともいる。

しかし、具体的に何をするのかはおしなべてあいまいなことが多い。
本来、ボランティアをやろうなどと考える人は、在職中から行動をおこしているひとが多い。
在職中にすくなくともいちどくらい体験していれば、自分に何ができるか、
あるいは自分できるかどうかがわかる。

特に学歴も高く、上位管理職にいた人で、進路がはっきりしていないひとは
かなり悩むことが多い。
それなりことができる自信もあり社会的な地位をきわめていればプライドもある。
その経験から導くことができる仕事は限定される。
趣味とかボランティアの経験があれば選択肢は増える。
学生が就職するときには、家族の職業や先輩の就職先、そしてアルバイト経験が大きな要因になることがおおい。
社会人はそれだけ社会経験が長いので、それだけ知識もあるが、それを自分に照し合せてみることは少ない。
社会経験が豊富でも、選択肢が多いということにはならないのだ。


●中堅層の悩み

ミドルの悩みは、個人の悩みとともに背負っているもの、家族や借金があるだけに複層的になる。
もうひとつ、これはもう運としかいいようのないのが、その人間を取り巻く上司や同僚の質だ。
特に上司には部下を教育する役割があり、しかもその力量があるかどうかは別にしてもっとも影響力を持っている。
もちろん本人に大きな責任があるのだが、この環境を形成している人物群の質は、選びようがない。
この人間環境は、その人間の成長に大きな影響を及ぼす。

高度成長期に必要だったビジネススキルは一体何だったか。
あるいは、必要でなかったものは何か?
また現在必要なスキルと比べて、大きく異なっているものは何か?
こう考えると、バブル期とそれ以降では、ビジネスマンを取り巻く環境は大きな違いがある。
卒業時のタイミングによってフリーターにならざるを得なかったグループが生れた。
無事に正社員として企業に入社できた層には、仕事を通して最も成長ののりしろが大きかった時期に、
質の高い指導が得られなかった可能性がある。