『もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの「マネジメント」を読

gaos2010-01-17

もしドラ』と話題の本を読んでみた。
アニメの週jン公のようなイラストの表紙。
『もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの“マネジメント”を読んだら』というタイトル。
しかも岩崎夏海という女性のような著者の名前をみたら、
なかなかおじさんはこの本をレジに持ていけない。

少し前にドラッカーの翻訳者である上田惇生さんのインタビューの中で、「この本を読んでなんども涙がでてきた」という発言がなければ、僕もこの本を手にしなかったろう。

たまたま、手にとって、時間があったので読み始めたが、
なかなか面白く、参考になった。

これはドラッカーのマネジメントの入門編として、位置づけられるものだと思う。

顧客とは何か。

この問いは、企業の目的とは何か、という一連の問いの中で行きつく質問だが、実際の自分たちの仕事の中で、改めて考えることはあまりなかったように思う。


先日、帰り支度をしているときに、若いMGRに、『自社の顧客にとって、自社ならではの独自の価値ってなんでしょうね』と問いかけられた。
突発的だったので、当たり前の返事をして、後でいい加減なことをしたと反省していたのだが、
こうした問いをするときにこそ、この本は参考になる。

顧客における自社の価値を、改めて問い直すことは重要だが、
それにはまず、顧客とは何か、自社の事業の目的とは何かを問い直さなければならないだろう。

『顧客価値』とは、最近よく聞くが、多くはコンペチターに対する優位差別化のポイントを探ることが多い。
実際、その質問は、上位競合会社に対する差別化ポイントを探るものだった。
しかしそれは、本質的な目的のない戦略を考えているようなものにすぎないかもしれない。

自社が誰に対し、どのようなサービスをすることで、評価されるのか。
これを整然と言えなくては、答えはおそらく山のように出てくるだろう。
課題を解決していってもきりがなく、しかも少しずつでもそれが目標に近づいていくとは限らないのだ。

すべてが同じフィールドで競っているのではない。
それはそもそも競争のルール、シチュエーションからして不可能だ。

われわれは何を持って独自のサービスを作るのか。
その答えは、顧客、ユーザー、従業員、経営それぞれにある。
その方針を決め、研ぎ澄ましていくことこそが、ポイントだと思う。