行動特性インタビューの深堀度

たまたま日曜日に図書館で『残念な人の思考法』(山崎将志著:日経プレミアシリーズ:新書)を手に取った。
あまり、読むことのないタイトルなのだが、ほかに興味をそそる本も無かったので、軽い気持ちでソファに座り、読み始めた。

すると結構面白い。
というか、いまの仕事に参考なるような事が書かれている。
結局、デスク席に戻り、メモを取りながら最後まで読みきってしまった。

冒頭に取り上げられている、おそらく日本電産の永守さんだと思うが、
京都で早朝に新幹線に乗り込んできて、たまたま著者の前の席に座った。
腰を下ろすなり、コートも脱がずにカバンからノートパソコンを取り出し、
何やらすごい勢いで打ち込み始め、それが名古屋につくとさっと降りていったというエピソード。

プロだから仕事に全力を打ち込むのは当然と、頭では思っていた著者のさらに上を行く、
早朝から全開で仕事モードになっている経営者を見たときに、
同じくプロのコンサルタントとして、その差を思い知ったというところから始まって、
いろいろなケースを上げながら話が展開されていく。

中でも、気になったのが『行動特性インタビュー』のところ。
面接の手法なのだが、実にシンプルに切り込んでいく。

過去一年間に取り組んだ事柄を挙げてみてください。
その中で特に成果を挙げ、達成感を味わえた事柄はどれでしょうか?
ではその事柄についてどのようなプロセスで取り組んだのかを説明してください。
そのプロセスで、具体的にはあなたはどのように行動をしましたか?

というカタチだ。

具体的な実績を上げ、それについて事実を説明できるか?がポイントになる。

これによって、
自分がとった行動を詳細に、正確に思い出せるか?
多くのスキルが使い分けられているか?
オリジナルな発想が盛り込まれているか?
質問をしなくても、自分で質問の意図を推測し、自分で話を展開できるか?
主語がかならず、自分になっているか?

といった観点で、評価していくというものだ。

仕事上、就職のための面接の受け方のレクチャーをすることが多い。
そして確かにこうした類の質問が多いことを説明する。

仕事に取り組んでいく上でのポリシー、こだわりはどのようなものですか?
一番達成感を感じられた体験はどのようなものですか?
一番落ち込んだ出来事はどのようなものでしたか?
それをどのように乗り越えましたか?

などなどである。

これは一面で人柄や価値観、それと意外な質問をした際にどのように対応するか、
具体的には態度や答えの内容などを、多面的に見るためのものである。
これはいうなればソフトの面ともいえる。

しかしこの行動特性インタビューの手法は、
仕事を進めていく上での、自分なりのセオリー(テクニックやロジック)を持っているか、
といった武器、すなわちハードを持っているかを探る手法のような気がする。

これは、すべてを正確に把握する上で、バランスよく使うことが有効だと思うが、
とくにこのハードの部分は、厳選して、即戦力および今後のポテンシャルを図る上で実に有効のような気がする。
ソフトの面はそれを円滑に活用する、発揮する上で有効なものだが、時にはそれは排除しなくてはならないこともあるからだ。

残念ながら、行動特性インタビューの項目では、著者が関係する知識工房と数件のサイトにしか、説明は見当たらなかった。
だが、それゆえに、まだまだ活用できそうだ。
解説書があまりに氾濫するようになると、また上っ面の対策テクニックがはびこるからだ。

これは面接のテクニックより、自分の行動を整理して、理解するのに有効な方法だと思われる。


関連用語
※STAR手法
 シチュエーション・タスク・アクション・リザルト
※MORS法則
 Measured:計測できる
 Observable:観察できる
 Reliable:信頼できる
 Specific:明確化、具体化