企業は効率化を目指し、マニュアル化標準化を推進する

企業は、多数の従業員を組織化して事業を推進する。
生産とその製品の品質を維持・向上させるために、必要な手順、問題の判断基準、業務に必要なスキルやそれを取得するために必要な教育・訓練手順をマニュアル化し、効率を目指す。
そして、トヨタのように、その手順を詳細に観察し、ボトルネックをさがし、解決策を模索し、実施することを繰り返す。これらの標準化によって新人や季節労働者がラインに入っても、一定の生産性や品質を確保するだけでなく、そこからさらに品質向上や効率化を実現するための課題を発見し、効率を向上させていく。優れた活動は、そうしたサイクルを生む他ためのシステムや風土を持っているわけだ。

前段階はある程度、他の企業でも真似ができるのが、実際にはトヨタ方針を学んでも、現実的には同じレベルの成果が上がらない。この理由が、後段の風土や従業員のマインドだ。
規則や指標をいくらふやしても、能動的に動かない組織は、規則、指標を遵守し、達成するだけにとどまっているからだ。
それだけで、体力を費やし神経をすり減らしている職場には、指標以上のレベルを目指す余力がない。裏返せば、指標と従業員の発想、工夫を生む余裕のバランスが悪いのだ。

マネジメントは数字だけではない。それはわかりきっていることだが、未熟なマネジャーは指標をふやし、添えを達成すれば生産性が上がる、というところで立ちどまってしまう。だから競争には勝てないし、新たな製品やサービスを生み出すことができない。いまやっているやり方、いま作っている製品サービスを、効率よく作るという時点で限界を作っているからだ。

企業が、生産性を上げ続け、良い製品を生み続け、そこで働く従業員の成長を促進し続ける、ということを目指すのであれば、この継続性をまず第一に考えなければならないといわれる、という所以である。