若年層の早期離職を防ぐ、コミュニケーション

昨今、若年層の早期離職が増えている。
しかも、条件的にも社会的な評価も高く、条件的にも恵まれている大企業もその例外ではないらしい。

最近の若者は、といった理由は常にあるものだから、そこに原因を求めても答えは出てこない。
なぜだろう?

色々な理由は考えられるだろうが、多くは人間関係に起因しているといえる。
上司との相性、先輩との相性、職場の雰囲気があわない。
どれも、離職する側の受け止め方だから、彼らに合わせて今いる社員の考え方や職場の雰囲気を変えるというのも、一見おかしいように思える。その観点で考えると、先ほどの『最近のわかものは、・・・』ということになる。

しかし、採用手順をしっかりとっていれば、あとは教育をするという受けいれ体制と、一人前にするという訓練面での考え方や準備が不足していることが多い。
それは何も採用に多額の経費がかかっているといた理由だけでなく、企業を存続させるために若年層の補充は不可欠だし、社会環境の変化によっては、既存の社員の集団とは異なるスタッフを迎えられる組織に自らが変化していくことも、同じように分けて通れないものだからだ。
そう考えれば、若年社員を定着させられない組織に課題があり、それを解決できないかぎり、成長はもとより存続すら難しくなるということを、まず正面から受け止める必要があるだろう。

そうした中で、リクルートワークス研究所の、結束型と橋渡し型という二つのコミュニケーションのタイプのレポートを読んだ。
組織、上司、本人の3点における、このコミュニケーションタイプの組み合わせが、若年社員の定着にどう影響しているかを検証したレポートだ。

結束型というのは、内部志向の閉鎖的集団のもつ協調力で、職属するメンバーにメリットをもたらすというタイプ。勝手に解釈すれば、自分のチームや課で固まって行動することにより、学習やトレーニングをするというイメージだろう。
もう一つは、橋渡し型と言われるもので、外部志向で他の集団や人とコミュニケーションをとることで幅広い情報収集や多様性の中でのバランス、効率的な成果をあげようというタイプ。合理的な対応のように思える。

ではこの組み合わせで、定着率が滝のはどれか?

結束型の職場では、上司も本人も結束型、あるいは両方とも橋渡し型というのが辞めにくい。
また橋渡し型の職場では本人が橋渡し型で上司が結束型というのが最も止めにくいという結果が出ているようだ。

逆に、結束型職場では本人が橋渡し型で上司が結束型や
橋渡し型職場で、双方とも橋渡し型という組み合わせが、辞めやすいという結果になっている。

この結果からは
橋渡し型の若年層は、上司も職場も結束型というのは息がつまり、
結束型の若年層は職場がどのタイプであれ結束型の上司のほうが安定しやすそうだ。
あくまでヒントとしての情報だが、こういう観点で接することが必要だとは言えそうだ。

昨今の組織は、個の尊重という意味が色々解釈されているため、若年層に理不尽と感じられそうなことを避ける傾向がある。それが正しいかどうかより、マネジメントに未熟な管理職が、自分の感覚だけでそのまま進めてしまうことの歯止めがかからないことが大きな原因のように思える。上司、人事あるいはそれ以外の立場のスタッフが、若年層を観察し、異常を感じたら早めにチェックを入れたりサポートできることができる組織というのが、必要になっているのではないか?